難病の概念

難病に明確な定義があるわけではなく、一般には不治の病ととらえられることが多いが、昭和47年に国が策定した「難病対策要綱」により、難病対策として取り上げる疾病の範囲は次のように整理されている。

1. 原因が不明で、治療法が未確立であり、かつ、後遺症を残すおそれが少なくない疾病
2. 経過が慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず介護等に著しく人手を要するために家庭の負担が重く、また精神的にも負担の大きい疾病


さらに、平成7年の公衆衛生審議会成人病難病対策部会難病対策専門委員会「最終報告」では、筋萎縮性側索硬化症(ALS)やベーチェット病など、原因不明で治療方法が確立していない「特定疾患」に対する対策として取り上げるべき疾病の範囲について、以下の4要素に基づき明確にしている。

1. 稀少性
2. 原因不明
3. 効果的な治療法未確立
4. 生活面へ長期にわたる支障


これらの疾病については、現在123疾病が国の特定疾患対策研究事業の対象として、研究班が編成され、原因究明や治療法の研究が進められている。

国の医療費公費負担事業(特定疾患治療研究事業)の対象となる疾病には、対策研究事業の対象疾病のうち、46疾病(都の数え方では47疾病〈注1〉)が対象となっている(平成13年5月1日現在)。

これらの疾病には、診断基準が一応確立し、かつ、難治度・重症度が高く患者数が比較的少ないため、公費負担の方法をとらないと、原因の究明、治療方法の開発等に困難を来すおそれのある疾病が指定されているが、具体的にどの疾病を取り上げるかは特定疾患対策懇談会の意見を聴いて決定される。

東京都では、国の制度を補完するものとして、都単独で難病医療費助成事業を行っており、現在27の疾病を指定している。

なお、原因・治療法はある程度判明しているが、特殊な医療を必要とする以下の2疾病についても、特殊医療として、医療費助成事業を実施している。

1. 先天性血液凝固因子欠乏症等(国対象:先天性血液凝固因子障害等治療研究事業)
2. 人工透析を必要とする不全(都単独事業)

〈注1〉都の数え方では47疾病
国では「強皮症・皮膚筋炎及び多発性筋炎」という名称で指定している疾病が、都では「--発性強皮症」及び「皮膚筋炎・多発性筋炎」の2疾病に分けて指定しているため、1疾病多くなる。
〈注2〉東京都特殊疾病対策協議会
難病対策協議会、訪問診療対策会議、不全対策協議会、骨髄移植推進協議会の4会議を統合して、平成12年6月に設置


厚生労働科学研究難治性疾患克服研究事業

番号 疾 患 名 番号 疾 患 名
1 脊髄小脳変性症 60 IgA腎症
2 シャイ・ドレーガー症候群 61 急速進行性糸球体腎炎
3 ウィリス動脈輪閉塞症 62 難治性ネフローゼ症候群
4 正常圧水頭症 63 多発性嚢胞腎
5 多発性硬化症 64 肥大型心筋症
6 重症筋無力症 65 拡張型心筋症
7 ギラン・バレー症候群 66 拘束型心筋症
8 フィッシャー症候群 67 ミトコンドリア病
9 慢性炎症性脱髄性多発神経炎 68 ファブリー病
10 多発限局性運動性末梢神経炎 69 家族性突然死症候群
11 単クローン抗体を伴う末梢神経炎 70 原発性高脂血症
12 筋萎縮性側索硬化症 71 特発性間質性肺炎
13 脊髄性進行性筋萎縮症 72 サルコイドーシス
14 球脊髄性筋萎縮症 73 びまん性汎細気管支炎
15 脊髄空洞症 74 潰瘍性大腸炎
16 パーキンソン病 75 クローン病
17 ハンチントン病 76 自己免疫性肝炎
18 進行性核上性麻痺 77 原発性胆汁性肝硬変
19 線条体黒質変性症 78 劇症肝炎
20 ペルオキシソーム病 79 特発性門脈圧亢進症
21 ライソゾーム病 80 肝外門脈閉塞症
22 プリオン病 81 バッド・キアリ症候群
23 ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病 82 肝内結石症
24 致死性家族性不眠症 83 肝内胆管障害
25 亜急性硬化性全脳炎 84 膵嚢胞線維症
26 進行性多巣性白質脳炎 85 重症急性膵炎
27 後縦靱帯骨化症 86 慢性膵炎
28 黄色靱帯骨化症 87 アミロイドーシス
29 前縦靱帯骨化症 88 ベーチェット病
30 広範脊柱管狭窄症 89 全身性エリテマトーデス
31 特発性大腿骨頭壊死症 90 多発性筋炎・皮膚筋炎
32 特発性ステロイド性骨壊死症 91 シェーグレン症候群
33 網膜色素変性症 92 成人スティル病
34 加齢性黄斑変性症 93 高安病(大動脈炎症候群)
35 難治性視神経症 94 バージャー(ビュルガー)病
36 突発性難聴 95 結節性多発動脈炎
37 特発性両側性感音難聴 96 ウェゲナー肉芽腫症
38 メニエール病 97 アレルギー性肉芽腫性血管炎
39 遅発性リンパ水腫 98 悪性関節リウマチ
40 PRL分泌異常症 99 側頭動脈炎
41 ゴナドトロピン分泌異常症 100 抗リン脂質抗体症候群
42 ADH分泌異常症 101 強皮症
43 中枢性摂食異常症 102 好酸球性筋膜炎
44 原発性アルドステロン症 103 硬化性萎縮性苔癬
45 偽性低アルドステロン症 104 原発性免疫不全症候群
46 グルココルチコイド抵抗症 105 若年性肺気腫
47 副腎酵素欠損症 106 ヒスチオサイトーシスX
48 副腎低形成(アジソン病) 107 肥満低換気症候群
49 偽性副甲状腺機能低下症 108 肺胞低換気症候群
50 ビタミンD受容機構異常症 109 原発性肺高血圧症
51 TSH受容体異常症 110 慢性肺血栓塞栓症
52 甲状腺ホルモン不応症 111 混合性結合組織病
53 再生不良性貧血 112 神経線維腫症I型
54 溶血性貧血 113 神経線維腫症II型
55 不応性貧血(骨髄異形成症候群) 114 結節性硬化症
56 骨髄線維症 115 表皮水疱症
57 特発性血栓症 116 膿疱性乾癬
58 血栓性血小板減少性紫斑病 117 天疱瘡
59 特発性血小板減少性紫斑病 118 大脳皮質基底核変性症
  119 重症多形滲出性紅斑(急性期)
  120 肺リンパ脈管筋腫症
  121 進行性骨化性線維異形成症(FOP)
122 色素性乾皮症(XP)
123 スモン


難病医療費等助成対象疾病一覧

番号 疾病名 番号 疾病名
国疾病 都単独疾病
1 ベーチェット病 77 悪性高血圧
2 多発性硬化症 81 ネフローゼ症候群
3 重症筋無力症 83 母斑病
4 全身性エリテマトーデス 84 シェーグレン症候群
5 スモン 85 多発性嚢胞腎
6 再生不良性貧血 86 特発性門脈圧亢進症
7 サルコイドーシス 87 ミオトニー症候群
8 筋萎縮性側索硬化症 88 特発性好酸球増多症候群
9 強皮症 89 強直性脊椎炎
93 皮膚筋炎・多発性筋炎 91 びまん性汎細気管支炎
10 特発性血小板減少性紫斑病 92 ミトコンドリア脳筋症
11 結節性動脈周囲炎 93 遺伝性(本態性)ニューロパチー
12 潰瘍性大腸炎 95 遺伝性QT延長症候群
13 高安病(大動脈炎症候群) 96 先天性ミオパチー
14 ビュルガー病(バージャー病) 97 網膜脈絡膜萎縮症
15 天疱瘡 74 進行性筋ジストロフィー
16 脊髄小脳変性症 76 ウィルソン病
17 クローン病 79 慢性炎症性脱髄性多発神経炎
18 劇症肝炎 80 骨髄線維症
19 悪性関節リウマチ 743 脊髄性筋萎縮症
20 パーキンソン病関連疾患 833 アレルギー性肉芽腫性血管炎
21 アミロイドーシス(原発性アミロイド症) 863 原発性硬化性胆管炎
22 後縦靱帯骨化症 866 肝内結石症
23 ハンチントン病 98 自己免疫肝炎
24 モヤモヤ病(ウイルス動脈輪閉塞症) 94 特発性肥大型心筋症(拡張相)
25 ウェゲナー肉芽腫症 961 成人スティル病
26 特発性拡張型心筋症 765 脊髄空洞症
27 多系統萎縮症  
28 表皮水疱症 国 特殊医療 
29 膿疱性乾癬 99 先天性血液凝固因子欠乏症等
30 広範脊柱管狭窄症  
31 原発性胆汁性肝硬変 都単独特療
32 重症急性膵炎 78 人工透析を必要とする腎不全
33 特発性大腿骨頭壊死症  
34 混合性結合組織病   国庫対象疾病 45疾病
35 原発性免疫不全症候群   都単独疾病 27疾病
36 特発性間質性肺炎   国特殊医療 1疾病
37 網膜色素変性症   都特殊医療 1疾病
38 プリオン病  
39 原発性肺高血圧症  
40 神経線維腫症  
41 亜急性硬化性全脳炎  
42 バッド・キアリ症候群  
43 特発性慢性肺血栓塞栓症  
44 ライソゾーム病(ファブリー病を含む)  
45 副腎白質ジストロフィー  


申請書について

一部自己負担額(医療保険・介護保険共通)
階層区分 1部自己負担の月額限度額
入院 外来等 生計中心者が患者本人の場合
A 生計中心者の区市町村民税が
非課税の場合
0円 0円 0円
B 生計中心者の前年の所得税が
非課税の場合
4,500円 2,250円 対象患者が生計中心者であるときは、
左票の額の1/2に該当額が自己負担限度額
C 生計中心者の前年の所得税課税年額が
5,000円以下の場合
6,900円 3,450円
D 生計中心者の前年の所得税課税年額が
5,001円以上15,000円以下の場合
8,500円 4,250円
E 生計中心者の前年の所得税課税年額が
15,001円以上40,000円以下の場合
11,000円 5,500円
F 生計中心者の前年の所得税課税年額が
40,001円以上70,000円以下の場合
18,700円 9,350円
G 生計中心者の前年の所得税課税年額が
70,001円以上の場合
23,100円 11,500円

申請から認定までの体系図